−21.裁判2(1/7)
朗花「しかしなぜ今日まで脱走を延ばしていたのでしょうか。裁判シティから
逃げるより、拘置状態から逃げるほうがまだ簡単そうですが」
行人「ここからすら可能、となると確かにますます謎になるね」
――あの、彼に特殊能力の類は全くなかったはずなのですが。
紅砂「そういうことは知っておられるのですね、外から迎えが来たのでしょう」
――・・・異形の?
紅砂「多分、前にも接触の可能性が示唆されていたので、一応は軍の警戒など
あったのでしょうが、なにぶん我々に防げるものではありません」
――けれどそれは私たちには可能性として知らされているべきです。
ぱちっ、
行人「軍の行為の不逞さを僕らに訴えたところで無意味でしょうが」
紅砂「よくわかったな、行人。聞こえるのか?」
行人「・・・紅砂の言葉と表情でなんとなくわかりますよ。縄張り意識とはね」
判事が叩かれた手で軽く赤らめた顔を押さえ、俯く。