−12.行人2(7/7)



――その日、どこかから現れた黒みの勝る巨人に、巨大なエイのような赤い
異形が切り裂かれた。その都市の空が赤くなったのはおよそ3年前。
どうもその頃からいたのではないのかと囁かれる、被害報告は存在しない。
 颯爽とした巨人は美しかったが歓声はなかったように思う。
そもそも、それ以前の巨大な異形たちはどう扱われていたのだろうか、銀の
巨人はどうしていたのだろうか。追い払っていた印象しかない。


 『・・そして切り裂かれた赤い身体は無数の星のようなかけらになった』


 その形が地球の海に棲むヒトデや、植物のカエデに似ていると気付くのは
学者か齢80を越えた者らだけである。あとはせいぜいがマニアか。


行人「一体なにを聞いて? 彦乃」
彦乃「紅砂はんのお気に入りのラジオですよ、前に教わりましたー」
行人「・・・なんかこれ、妙に詳しいね、」


彦乃「しかしなんでそんなずるずるの服を着せられてるんですか可愛いケド」
行人「重しも入ってる、というかせめて区切ってよ...orz」