#47 因縁の決着

正直こう、“悪魔”の考えてることがわかんなくてそっちのほうがよほどどきどきとしたというか、死ぬまで悩ませて魂を美味しく頂こう、という腹なのはわかりましたが、やっぱり曲がりなりにも情めいたものはあるんでしょうか。
どっちかというとマッドサイエンティスト自身は、あの段階で裏切られてたとえ殺されてもそれはそれでいいや、と思っているような気もするのでわりといい男ですよね。
悪魔が選ぶのもわからないでもないな、てか、自分が惚れた女の旦那を追いかけて言うことが「お前は自分探しの真っ最中なんだろう!」ってすごいよなぁ、ああそういえば、確かにそうなのか、細かい事情そのものは追えてなかったのだとしても。
その全体の流れに関してはなんの勘違いも美化も混入されてないのか。
自分の愛した人の仇として追っているというわけですらなく、そのあとを彼女から任されていたことが追う動機で、しかもそのことを直接告げたりはしなかったのか。


と思うと、見た目からはなかなか伺えないながら、いい男じゃないですか。
自分の愛した自分を愛さない相手への未練はあったものの、そのことを噛み締めて、わかっているのだ、と自分できちんと抱え込むところは潔いじゃないですか。


実際原作でこの白が、どんな死に方をしていたのかわかりませんが、私はこれはこれで面白いなー、という気がします。ある意味で、全ての企みの意思決定権を持つ男が、それとなんの関係もないところで関係のない因縁で死んだという無責任な結果ですが。
≪黒芒楼≫のその強固に見えるシステムが、ある意味で一人の男の半端さから出来ていたんだ、という状況の解釈というか、決着の付け方としてはありじゃないんでしょうか。