#4 彼女の大切なもの

時音と良守の家は、まあ喧嘩していると言っても正直じいさまばあさまがエキサイトしているだけというか、むしろあの大喧嘩のおかげであまり険悪な雰囲気ではないくらいですが(仲良くはしにくいけど妙な方向には拗れなさそうというか)、わりとこう、世界観そのものはもうちょっとシビアであるらしく。
この話に出てきた“裏会”とか、鬼使いがどうも一族郎党でその役に当たっているらしいこととか、力が弱いと馬鹿にされ、蔑まれるのだというのが示されているわけですが。


良守はどちらかというと、性格というより環境のせいで鬼使いの気持ちがわからないということになるのではないのかなぁ。彼女の思っているように能力や与えられた地位のためではなくて。
愛ある世界観のほうが裏切りやシビアさが面白くなる傾向にはあると思うんですが。
けれどまた、陳腐に見えたり、説教臭く見えたりという、なんというのかバランスを崩すと逆効果になるという諸刃でもあるわけで、土台がしっかりしているから面白い話といえるような気もしますが(良かったっす)、ある意味でこの状態に達するまでに多少の試行錯誤があったのではないのかと思うんですがどうなんでしょう。
元が漫画で、わりと力のある人間がそれを基に話を構成しているというか。
やっぱりこの手の話はテクニックじゃなくて、素朴な素材を積み立てて形を為していって欲しいなというのが趣味というか勝手な好みなんですが。


「何故そんなことをしたのか」ということが納得できさえすればこの手の話は面白いのですが、正直それよりもう少し良かったです。これから幸せだといいなぁ。