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モチ『どうかしなさいましたんで? 兄さん』
タロ「なんとなく複雑な気持ちなんだ、その、80の言い方が軽いというか」
モチ『憑依されていた相手さんのことですか?』


タロ「・・・なんで君にわかるんだ、そういうのが」
モチ『まあ、全く別の生態なので、わかるもなにもないんですが』
タロ「なんというか、軽んじていたというわけではもちろんないよ。そういう
 ことじゃあないんだ。ただ、“いない”んだなって」


モチ『そもそも共同意識体なので、生命とは違いますし、その上誰かと身体を
 共有する気持ちなんてのがわかるわけではないんですが』


タロ「いや、落ち込んでいるわけではないんだ。ただなんだか、僕は今まで、
 それを意識することはあまりなかったような気がするんだ」