「そういえば、基地内に部屋、用意出来ましたので移動許可お願いします」
「はい、っと、そうか早かったね、ありがとう」
「いえ。それにしても、セキュリティの問題があるとはいえ、なにも貴方自らが部屋を提供するまではしなくても良かったのではないかと・・・」


「いえいえ、大事な大事な預かり物です」
「はい、ただ、」
 どちらかというと職権濫用と言えなくもないかもしれないが、ただまあ、完全に記録に残さず、警備上の問題がないという選択肢を満たすものは実際急には難しく、咎められるほどのことでもないとわかってはいるのだろう。
 そもそもが口にしたいのはきっと別のことなのだ。


「――その、貴方でなくてはならないのですか?」
 多分そんなことはない、戦える人間、飛べる人間はどこにでもいる。今まで閑古鳥か鳴いていたこの国にも、実戦ともなれば人も呼べるだろう。
 だからきっと、そもそもそういうことではないのだ。