その隊員には、子どものような印象がある。しかし実際には二十代前半。
 かなりの飲み込みと腕の良さと、半端ない人手不足で正直特に問題視されたこともないが、よく思っていない者もいるようだ。部隊の中では主に隊長が面倒を見ていたため衝突等の問題はなし、どうも可愛がっていたらしい。実はまあ、話を聞いたことがないでもないが、余所で聞く話とのギャップがちょっとばかり大きいせいなのかいまいち、未消化。
 悪意のなさというのは誰もが太鼓判を押していた。しかし言葉はめっぽう荒い。


 ――まあ実際、昨日聞いたわけなのだが、ね。


 有能な秘書嬢(じきに総監代行へと名前を変えて貰う)にそれとなく印象を聞いてみようとしたものの、鉄壁のガードの前にあえなく崩れ去る。異形の、いくら友好的であるという信頼があるとはいえ巨人を怒鳴りつけたのだ。しかも己らの街を守ったその直後に。
 そのやり方が拙いのだと。


 そして本日、その怒鳴られた者は怒鳴った相手と一緒に出掛けてしまった、と。
 どんな感慨を抱けば「正解」なのだろうか。