カチャ。
「・・・どうか、なさったんですか?」
「ん? いや、ちょっと喉がね、眠れないのかい?」
 少しだけ口を押えて、脇を向いていた、言葉を選んでいるというよりはなにごとか言っていいものやら迷っているらしい。
「こんな言い方をしてすみません、身体に、慣れなくて」
「? それがなぜすまないと?」
「いえ、人の身体なのに、なぁって」


 正直、身体を一つきりしか持ち合わせない種族にはわからないような気はするのだが。“地球人”の身体に馴染めなくてすみません、ということなら、それは種族の差があるにしても随分また真面目だなぁと思う。


「ところで喉、どうかなさったんですか?」
 ――喉? と正直しばらく考えた。前途はなかなか多難なようだ。