彼らはそもそもひどく美しい種族だと思う。それを口にするのには、実際かなりの抵抗があったのだが、“強い”というのならば誰も笑いはしないだろう。そのために地球に来る、そのために生きているのかもしれないとまで思わせる生き物だ。
 そんなことをふとぽつりと、実戦部隊の隊長に言ってみたところ「そうですね」とあまりに容易く頷かれてしまって驚いたことはないでもないが。
 けれどまあ、なにに驚いたのかというと、戦闘機乗りが案外と繊細だったことなのかもしれないから、自分のことを見事に棚に上げてまあ、失礼なことだと思わないでもない。そしてそんな風に見抜かれて少しだけ笑われた、どっちが年上なのだか。
(ところで実際自分は何歳とカウントするのが正しいのだろう?)


 その彼に預ける、つもりだった。


 けれど部隊は灰燼に帰し、当然、ならば誰に、という問題は出てくるのだ。そしてその答えを出すのに、さて自分はどのくらいの時間を掛けたのだったか。
 実は覚えていないのだ、まだ、ほんの数時間しか経っていないのだろうに。