#5「なりゆきまかせの異邦人」神坂一

軽くて回転が早く(しかし軽い、まあいい意味で)、度胸のやたらいい、というより現代日本人ということを加味して考えると実感湧かなくて鈍いのかなぁ、という気がする女子高生が(でも神経の太さは本物だよな)、異世界にちょーっと情報収集のために呼び出された時にはったりで脅しつけ。
その後呼び出されることに成功☆ という頭の軽い話ですがなんか妙に深い。
この巻はベタなんですけど、この女子高生、敵陣地まで最終的にずかずか乗り込んでるからなぁ、あ、ちなみに剣と魔法と金髪の王子のいる世界です、異世界。敵として襲ってきているのはトカゲとドラゴンの中間みたいな空飛ぶ種族だったり。
もちろんハイファンタジーとはかなり程遠いんですけど、案外骨子って近いんじゃないのかなぁ、現代日本人と異世界人の意識の違いとか、トカゲたちとの習慣の差異とかそっちが主にメインになってるわけだし。いやまあ、褒めすぎた気はしてますが。


なんのために女子高生・エリが異世界に行くかというと楽しいからで。
なにをするのかというと主に観光と、塩やスパイスが手に入りにくいので持っていって売り捌き、異世界の金貨を質屋で換金して日本での小遣いを手に入れてるんだよ、というようなせせこましさ。うんでも、軍資金はどうしても必要よね。
あちらの世界に呼び出され、結果彼女に脅されている魔道師は腰が据わらず気が弱く。
まあなんというか、出たとこ勝負というか、損得計算が素早いというか、場の空気を読むのに長けている(わりに敵意はガン無視、素敵ー)エリちゃんとの交流は案外彼のためになったよ、みたいな話は読んでてそんな馬鹿らしくもないじゃないですか。
ちょっとこう正直、かなり好きな話の一つです。全4巻。