#8「白衣の神のつぶやき」J.D.ロブ

正直、事件そのものはかなり良かったというかすっげぇ良かったんですが。
謎解きの段階になるとまあ、うーん、あんなものかなぁ、としか言えないというか、そうなのよね、凄腕の外科医とその助手なんて用意して、捜査に圧力を掛けて厳選された患者で殺されても特に問題にならなさそうな病状の相手を探す、ということになると組織犯罪としてみるのが妥当というか、責任の所在がいまいちわからなくなっていてもしょうがないとは思うんですが、そして動機もとても良かったんですが。
あまりの事件の良さに惜しい! と思わざるを得ません。
あ、とはいえ、ハーレクイン系のサスペンス本としての評価ではなく、一般サスペンスやミステリとしての評価です、別に甘くする必要は感じません、面白かった!


ホームレスの死亡現場に行きましたらば。
その胸の中からは心臓が抜き去られ、しかもそれが黒魔術などの乱雑な腕ではなく、医者に見せたら「素晴らしい腕だな」と絶賛されてしまうような状態。しかも殺してしまうのだから必要のないはずの前処置までされているという、わけのわからなさ。
そしてイヴが不信に思い調べてみると心臓以外でも同系統の事件がぽちぽちと。
しかもそれらは全て、警察で酷く乱雑に一般事件として処理され、一度だけきちんと捜査をしようとした刑事は突然の辞任で消えているような始末。凄腕で怖いものなしのイヴと、億万長者でアウトローにも通じたロークというコンビは、まあこの世でもみ消すのにこれ以上不都合がある相手はいないわけですが。殺人事件の容疑者に仕立てられる始末。
でもさあ、ぶっちゃけ、だんだん隠蔽工作と協力者で膨れ上がってたから、そのうち内部から崩れても仕方がないような気がしないでもない。殺人より難しいってか。