#4「戦乙女」小林めぐみ

私がこの話のどこが一番好きって「年寄りに家族は冷たいもんだぜ?」という進の介さんのくだりなわけですが、これを言うとちょっと評判が悪いのはまあ置いておいて(私の評判が)。とはいえ、“神器の番人”だなんだという大層な名目を抱えて。
人一人の人生を使い潰してしまうような話の落着点として皮肉で楽しいんですよ。
まあ実際、当の美和ちゃんにも大叔母さんにとっても冗談じゃないけど。
彼女も彼女で可哀想とは思うけど、だからって他の、自分よりもっと弱い相手をどうしてもいいんだと思いこむのはそんなことと全く関係なく最低だし。


だからこう、自業自得ってことでいいんじゃないかと思うわけですが。
この巻でこのシリーズは終了、少年たちはまあ、一人は肉体ではなく精神の不死、一人は約三百年の生、最後の一人はしがらみから解き放たれ、今まで特定の意思を持つべきではなかったので戸惑い。
もう一人、不死の存在を宿した幼女もいるわけですが、特に暗いなんてこともなく。
身内の身勝手な、どろどろとした争いが背景にあっても、なんの責任もない「不死」を押し付けられてしまった少年がいても、それでもなんだかこの話は明るく。
いざとなったら聖獣の世界にダイブインってぇことでいいんでしょうかね。
まあ、全国退魔師組合もあるしな。うんうん。


この本はずっと淡々と戦い続けてきた美和ちゃんの話。
彼女が唯一諦められなかった、執着とそれが引き起こした事件の話。
そーいや彼女、双子の姉妹なんていたんですね(←表現に語弊あり)。