#10「桜の園」チェーホフ

どちらかというと太宰治の「斜陽」を先に読んで、それでこちらに興味が惹かれたので(まだレビュー書いてない)、順序が違うかもしれませんが。要するにまあ、貴族がその特権的な地位を失い、自分で事業をするような才覚もなく。
自分の一番のお気に入りの家を売ることになってしまう、というわずか数日。
主人公というより、ラネーフスカヤ夫人が圧巻の存在力です。
ええもう、彼女の娘よりも養女よりも、むしろアンタが好きだ! と推察されるのだという(解説でされてる)若めの男がいますが、全くの同感です、可愛いのなんのって。そして多分、今もなおお綺麗でしょう。
いや、ルックスに関係なく魅力的な人ではありますが(だって小説だし)(戯曲ですけどね)、この性格は美形じゃないと多分生まれえない気がするというかなんというか。。。


んで、舞台はロシアです。
なんかの間違えのようにラネーフスカヤ夫人だけが青々と晴れ渡る夏空みたいな方ですが、基本的には皆さんじめじめしています。そして、ぶっちゃけて螺旋が外れているみたいな夫人に対し、愛情があるからこそ手を焼いています。でも馬鹿じゃないんだ。


彼女はまあ、お気に入りだった別荘は手放しますが、ありていにそんな不幸なわけじゃないんですよね、でも嘆いてて、でもなんというか、明るくて誰にでも親切で(騙されやすく)螺旋が外れてます。
んで、彼女に惚れている(と思われる)男が別荘を手に入れ、(思わず)快哉を叫ぶそうなのですが、まあ悲劇ってほどでも喜劇ってほどのこともないような。