#8「嵐が丘」下、エミリー・ブロンテ

ヒースクリフエドガの妹を浚い(エドガの妹だからもうちょっと根性あるかと思ったのにってなんじゃそりゃ、復讐じゃなかったんかい)、子どもをなし、キャサリンの兄の子どもを加えて三人の次世代がその土地にいる状態に一人の男が訪れ。
エドガもエドガの妹も、兄夫婦も全て死にそもそも前世代はヒースクリフしかいないような状態なのですが)(とにかくまあ、それで違和感もない。)
彼は事態に何一つ立ち入れないにも関らず、全てを聞き、見てしまうわけですが。
それでもやっぱりなにに関れずに立ち去ることになるわけで、この人になにか価値があるのかと聞かれたらわからない。洗練された物語りの語り方かどうか、も私には判別がつかない。どうしてそこまで事態が捩れるのか、もう少し誰かが、冷静であれば、とも思えない、まああとから、起こってしまってから言っても遅いとしか感じられないわけで。


愚かっちゃあ愚かなんだけど、もう他にないようにも思える。
ヒースクリフがじきに自分は死ぬ、と呟くのも、なんだかそれが仕方ないようにしか思えない。役割りが終わったら、消えていなくなることしか出来ないのではないか。


これがなんの話か、と聞かれたらどんなに陳腐でもやっぱり「心」の話だと思うとしか言えないわけですよ。他に言い様がない。
キャサリンエドガとヒースクリフと、一つの人間であったらなにも起こらず、平穏なままだったとは思うのですが。それでは小説にならないし、そんな人間はいない。
だからまあ、大概事態は捩れまくっているのですが。
もう、これはこれでいいような気がするんですよ、未来はあるんじゃないのかと。