#1「ピーター卿の事件簿」

セイヤーズの本はそもそもほとんど統一感がない、、というと批判になってしまいますが、同じ切り口のものがほとんど一つとしてなく、わりと共通するのが登場人物たちのコミカルな会話くらいかなぁ、と思うんですが。
これがまた、この短篇集にはほとんどその傾向がなく。
ただ、この短篇集自体は全てに怪奇な様相を持つ事件が関係した話ばかりなので短篇集としてはまとまってるかなぁ、という気はします。気はするんだけど、この本が気に入っても多分長篇シリーズ気に入らないし、長篇も最初の数冊だけだと馴染みにくいかもしれず;


もしかしたら方向性の模索なのかなぁ、という気もまたします。
山奥の狼憑きと銅像の話はとてもじゃないけどピーター卿っぽくないしなぁ。
シャーロック・ホームズがああいう感じで時々はったりかますよね、一言説明しろよ、と襟首とっ捕まえて延々と説教してやりたいです。ホームズだと逃げられそうだけど、ピーター卿なら聞いてくれる(けど聞き流される)。


身体の中身が左右に入れ替わってしまった男、首のない馬と御者の地面にけして設置しない馬車の話、一晩で忽然と消えてしまった部屋の話。
ああ、アリバイの話は怪奇な側面なかったか、それと“胃袋”を遺産に残された人の話はわりともともとのピーター卿っぽい雰囲気かも。つーか鈍いというかなんというか、そのお人よしのところが伯父上に気に入られていたような気もしないでもないw
健啖家のおじさんに胃袋貰ったよー、と喜んでる青年可愛かったですよ。
あとはまあ、馬車の話の巡査かなぁ、出世してるとよいですが(賢いの)。