#10 生命と信仰

これはほとんど現実そのものの話、としか言い様がない。全て状況を宇宙に置き換えてはいるものの、何度か聞いたし「どうすればいいのか」の答えが出ていないテーマ。
とある症状で少年が担ぎこまれ、大したこともない外科手術で治ることが判明、しかし彼らの種族の医者はすでに彼の命を諦めたのだ、というところまでで、、、いや、最初に少年が出てきた時点でなんとなく知れるものがあったわけですが。


要するに彼らの宗教では身体を切り開いたらその時点で魂が死ぬとされており。
そして、その彼の症状は外科手術以外の解決法が全くありませんでした。と、それだけ。
救いようのない結論だったと言えば言えるとは思うんですが、ドクターが(二度の)独断をしたことも、各大使が傍観の態度を保ったことも。司令官が手術の拒絶をしたということも。そして両親がどうしても受け入れられなかったということも含めて案外と、この結論で良かったような気もします。
なんというのか、生々しいテーマであるからこそ逆に、というか。
そこに描くのは全員が、それぞれの立場で味わう苦悩そのものであるべきだと私は思うので。んで、この結論のどこかに見た人たちが釈然としない思いを抱くことも含めて、それが現実に存在しているのだということも含めて眺められたらそれでいいんじゃないかなぁ。
この話のこの展開を私は受け入れますが、嫌だって人も好きだなぁ。


少年に“玩具の卵”を与え、それで慰めをもたらしているつもりが、彼は逆に医者のためにその卵を信じた振りをした、しかも医者が“卵”信じているのだということを信じて。
というところが好きです、この世は誰かが誰かに一方的に与えるだけじゃないよな。