愛しき戦車、24



――夢を見るんです。


そういう切り出しで始まるわりに、メビウスの話はとりとめがなかった。
そもそもあの子の話すことは多少意味が取りにくい。


エルの腕が弾けるように飛び(しかし、完全に行きがかりの巨大昆虫に自分の体を
餌として与えるというのはどういう感覚なのか)、それに貪りついた蜂。
そして、自分の手で羽をもぎ取り息の根を止めたこと。


不思議なことに、その明らかに実現した体験を夢としてしか語らない。


タロ「なんらか、ショックだったってことかね」
レオ「一連の内容に赤丸でも付けましょうか、尋常な事態じゃないですよ;」
タロ「わからないでもないけど、やっぱりわからない」
レオ「まあ、他の三人がさっぱりしてるんですよねぇ・・・」