#11 カイブツノユメ

正直こう、この話には若干舌足らずというか、言うべきことを全て一つの話の中にまとめないのかまとめられないのか分散し、あとから間接的に説明しているようなことが多々あるのですが(まとめ見する分には個人的には可、駄目な人もいるだろね)。
とはいえホラーとかオカルトで説明しすぎの致命傷っぷりはよく知っているので。
見てる間に白けてしまった、ということはなかったように思います、父ちゃんの考えていることややっていること、そして「なにかが憑りついている」ということや、過去にしでかしてしまったことの意味が全部わかるとは言いませんが。


少なくとも恐怖を感じたい、一番恐怖を感じるのは憎まれた時で。
そして自分の血を別けた子どもに憎まれるのがもっとも強い恐怖だろう、と言っている意味がわからないでもないんですよ。ちゅうか正直、納得できないでもないのよ。
ある意味で話に“深み”がないのだ、と評価してぷりぷり怒っている人の気持ちもわからないでもないんですが、でもこの父ちゃんが陥ってしまった状態。自分のしでかしたことや一体なぜそんなことになったのか、という自分の内面を少しも省みず(反省しろというのは当時の年齢考えるとちょっと言いにくいけど;)、よりにもよって恐怖を快楽としてのみ記憶して、それをもう一度味わいたいがために、と大量の他人の恐怖を聞くことによって法則を考え答えに到達したのだ、というのは浅いとか深いって問題でない気もするのよね。
その行動力をなぜ他のことに生かせなかったのか、というか。
もうちょっと人に迷惑を掛けない方法で恐怖を突き詰めたら? とか、いっそ人外に追い立てられるような生活をしてれば良かったのか。
なんちゅうか、彼から生まれ出た、優しすぎる娘さんが哀れです。