#10 夢

わりとこう、筋がわかってしまうとシンプル明快な話であとはこう、ポアロさんがなにを気にしているのかな? と思っていたんですが、あ、そうか、殺され方か、犯人わかってもあの内容だと確かに証拠は残ってないだろうしなぁ。
トリックがわかると面白くない話と、それでも十分面白い話とがありますがこれは後者。
ミス・レモンの行動で気付いたところで思わず私もにやり、なるほど。


とある富豪がポアロさんのことを手紙で呼び出し。
何時何分に自分の机に入っている拳銃で自殺する夢を見るのだ、と話し掛けてきた数日後にその通りの方法で死亡。その時間ってのは昼時の特に変哲のない時間で、部下をちょうど呼び寄せて待たせている間に自殺、というところが少し妙ではありますが。
逆に彼らの証言でその時間、誰も室内に入らなかったことは確実です。
で、ポアロさんが呼ばれて行くと奥さんが夢の話を聞いていた、ということを裏付けるわけですが、そう大したことでもないけれどぽちぽちと妙なところもある。なぜか現場となったその“自殺予定現場”に近付かせようとしなかったこと、ポアロさんを呼び出した手紙を回収しようとして、なぜか別の手紙を受け取って気付かなかったこと。


その殺された富豪は工場の敷地内に住んでまして。
金に厳しくて周囲に手厳しいあまり良い人でもなく、恨む人もあるだろうとのことなのですが現場は確かに自殺としか思えず。正直こう、「夢」で裏付けしてなかったらこれ成功してたんじゃねぇかと思わないでもないんですが。
てか、すっぱり娘さんたちみたく駆け落ちでいいじゃんな。うん。