#6 砂に書かれた三角形

この手の妖艶な婦人、というとクリスティの作品の中ではどっちかというと、周囲を手玉に取っているというより、むしろ世間の悪評にも関わらず騙されていることが少なくないんですが、悪く書かれているというのか同情されているのか、うーん。
でもこの辺は案外、作者さんの観察眼が感じたことだって気もしないでもないしね。
(この種類の女性と縁がなかったとは思えないじゃないですか。)
海水浴も楽しめるような島にポアロさんが観光に来ていましたらば。
とある魅力的な婦人がいてひどく献身的な夫がいて。
一方に元気のよい夫と、ちょっとおっとりした奥さんがいて、最初の婦人が若い夫のほうにちょっかいを掛け出しましてね。そんな大したことでもないようにも見えるのですが、そもそもそういうことが少なくもないのか先の夫が本気で怒り出し。


とはいえ、やっぱり実際になにかあったわけでもないので、男同士、女同士で仲直りしていたところで最初の奥さんが毒でもって死んでしまう。そもそもそのカクテルを作り、本来飲むはずだったその旦那に差し出した若い夫が疑われることになり。


喧嘩が起こるまでは状況を楽しんでいた若い女性が、ほとんど悲鳴を上げながら帰ろうとするポアロさんを連れ戻しにきましたとさ。でもねぇ、ポアロさんにもなにか事前に出来たってことはないような、あの忠告は誰のためだったのか。
回タイトルの砂に書かれた三角形、というのは恋愛沙汰のあれだったわけですが、毒の入手経路を調べたところ、浮かんできた事情は目に見えていたものと全く別のもの。
残された旦那もだけど、奥さん、、、は自業自得の面もあったのかなぁ。