#4 24羽の黒つぐみ

実はわりと売れていたのだというとある絵描きのじーちゃんが、階段から落ちて亡くなったんだよ、ということが判明するよりも早く「多分こいつが犯人だな」という人間が出てくるのは正直どうかと思われるんですが。
しかも、“長年の習慣と違う行動を取る老人”ということと、劇場の関係者、ということがセットになるともう他に考えようがないじゃない。


いや、それを示すこと事態が悪いってんじゃないですよ。
正直、ポアロさんが不審に思った時点では、「じいちゃんが消化に悪いものをたまたま解禁してただけじゃね?」というほうがよっぽど自然な解釈だという気がするし。にゃ、かの老人の人となりなり知ってたら別だけどさ。
それはまあ、会ったのに挨拶されなかったよ、という近所の人と合わせれば、おや? とは思うくらいになるはずですが、先になにかしら犯罪が存在してるんだよ、というふうに匂わせる冒頭の一幕があってもそれはそれで構わないと思うんですよ。


しかしさー、それなのに絵描きの事情のほうを調査されてもね。
疑う余地がないっていうか、甥じゃんどう考えても!
絵描きの、それなりに怪しい身辺を眺めながら「甥だよ甥」としか考えられない構成だったというのはいかんともしがたいですよ。いや案外、それで犯人が違ったら良かったような気すらしてきましたが(甥が企んでいたのは別のことだったりして)。
で、ところでなんで甥は、もう片っ方のじいちゃんの死と合わせて殺したんですか。
時間の偽装もアリバイ作りのためだったし、うーん、正直わからん。。。