愛しき戦車、70



エル「成長遅くて変だなぁ、とは思ってたらしいけど、個体としては段違いに
 強かったしね。そうだなー、子孫が三代を重ねたくらいでおかしいねと」
イオ「すまん・・・、なんかそれ遅くないか?」
エル「うん、そういう生き物だったから、今もちょっと変だろ? 僕」




【“母親”がエルを生んだ時の詳細はわからない。ただそれ以降、どうしても
「それ」は子孫には受け継がれなかったことから異様ではあったのだろう。
 最後の子どもを看取ったあと、しばらくの眠りに付いたらしい。】


エル「今考えると、遺伝的に限界だったんだろうね、不思議なほどあっさりと
 目を離した一瞬に死んだ。なんだかほっとした、いつ別れることになるのか
 ずっと怯えながら生きていたから」
イオ「そうか、それでお前、」
エル「おかしいよな、今更、特に君らなんて宇宙一くらいに強いのにな」