The Hanged Man.51



――さて、その次の瞬間の出来事はメビウスが記述したがらなかった。
ゼノンと二人して聞き出したところを概ね書き起こすと、確かに妙な具合だ。


【(イオタ著)暗闇から伸びた白く光る二本の手がエルの要するに顎を掴み。
 頭を捻り上げるようにして向きを変えさせ、・・・どうも文面だと物騒だが
姿勢としてはほとんど抱きすくめられていたようなものだ。
そしてまあ、その次には長々と・・・】


イオ「書けるかぁっ!」
ゼノ「俺が書くっていったのにー」
イオ「阿呆か、なんだあのゴシップ記事みたいのは(←削除済み)」


――要するに、地球で言うところの人工呼吸だ。
メビウスの見るところ、実際にエネルギー供給も行われていたらしい。
ゼノンの言うには、どうも口移しだと相手が拒絶していても、許容量を超えて
しまっても注入が可能なのだそうで。ある程度穏便な足止めに使われることも
ないでもないのだそうな・・・なんか相手が異様に限られないか? それ。