#24「マギンティ夫人は死んだ」

ポアロさんが扱うにしてはちょっと変り種の事件というか。
引退寸前の刑事さんに頼まれ(腕はよろしいと思います)、とある掃除婦の方が小金を盗まれて頭を叩き割られてしまった事件を調査することになったわけですが。理由はもうすぐ彼が死刑になってしまうからというもので。
確かに隠居前に自分が調べた証拠で死刑になった男が、どうしても犯人だと思えなかったら気に病むのもわかるというか、調べてもらおうというのもわからんでもないのですが、どうも当人が煮え切らないというか。無気力でじた、ともばた、ともしないし陰気でやな感じ。とはいえ、それで死刑になっていいはずもないわけですよ。


で、現地に調査に赴くものの。
なんというか、押しても引いても手応えがないというか、怪しい人はわりとわんさかいるのに(しかし多かった、半端な田舎ってあんなものなのか時期が時期なのか)。肝心の当人に殺されるに至る事情が全くない。小金も、その犯人とされた男が取ったわけでなかったら、家のすぐ裏手に隠すのは間抜け以前に理由がない。


そして彼女が切り抜いて取っておいた、過去の犯罪に関係した女たちの記事。
そこに使われた写真の原本を知っています、という手紙はどうでもいいとあしらわれましたが、その当のご婦人にとってはそういうわけにも行きませんわけで。
事態は「誰が誰であるのか」ということに向うわけですよ。
そしてそんな中、その写真をやっぱり見たことがある、と言い出した婦人の死。
乱雑極まりないお家が事件の調査を案外阻みます(ジョークでなく)。